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2021年11月3日水曜日

ニューヨーカー流の絵の選び方(ただし30年以上前の話)

 1989年の夏、僕はマンハッタンに一か月ほど滞在していた。
ある日曜の午後、こじんまりとした画廊に立ち寄って、絵を眺めていた。
すると、初老のおじさんが、
「この絵は、お勧めだよ。オリジナルなんだ」
と、僕に話しかけてきた。どうやらこの店のオーナーさんらしい。
「この絵を描いた作家はまだ生きているの?」
と、僕が質問すると、おじさんは、顔色を変えて、
「絵の選び方を、教えてあげよう」とまだ二十代の若い青年だった僕を諭すように言った。
「絵を買う時には、将来、値上がりするとかしないとか、そういう基準で選んではいけない。絵を自分の部屋の壁に飾ったイメージを思い浮かべて、毎日、この絵を眺めたい、と思えるかどうか、それを基準にして、絵を選ぶんだよ」
今日、朝、コーヒーを飲んでいた時、ふと、その時、おじさんが言ったことを思い出した。
なぜ、思い出したのかは、わからないのだけれど......

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